ADHDのSST(ソーシャルスキルトレーニング)とは!?
みなさんは、SSTという言葉を聞いたことはあるでしょうか?
SSTとは、“Social Skills Training”の略で「生活技能訓練」とも呼ばれています。
簡単に説明すると、「社会で生活する上で必要なスキルを身につけるトレーニング」です。
とはいっても、なかなか想像できませんよね?
今回は、どのようなSSTがあるのかについてご紹介していきたいと思います。
SSTで身につくスキルとは!?
- 挨拶や会話などのコミュニケーション能力
- 感情表現の表出の仕方
- 自己理解
- 自分以外の人の感情を理解する など
SSTは、発達障害(LD、自閉症含む)をもつ人であれば誰でも積極的に行う必要がある療育です。他にも、発達障害の人だけでなく、定型発達の人に対して活用しても損はないでしょう。SSTは、他者と関わるうえで必要なコミュニケーション能力を身につけることができるため、発達障害でない子どもにも使えるかもしれませんね。
SSTは、以外と日常生活の中でできるものがたくさんあります。これまで、いろいろなSSTを見たり考えたりしてきた私ですが、その中でも楽しく成長できたSSTをご紹介したいと思います。
お家でできるSST5選!
【一つの話題で語り合う】
これは、一つの話題について話を広げていくというものです。話題は何でも構いません。低学年くらいの子であれば、ゲーム感覚で絵カードからスタートしてもOKです。絵カードに描かれてある絵について何を思うか、どんな状況か、どんな表情をしているか、などを質問していきます。大きくると、本についてやニュースについてなど少しづつ話題のランクをあげていきます。この一つの話題について語り合うことで、想像力や語彙力、言語力が身につきます。普段、子どもたちと関わるときは、すぐに話しを終えるのではなく、どう広げていけるかを私達は考えます。できるだけ多くの言葉を使って話してもらえるように誘導していくことがとても大切です。
【自分でプロフィール】
これは、自分のことを理解するために行うSSTです。「自分の強み」「弱み」「好きなこと」「苦手なこと」「一番の思い出」など何でも構いません。とにかく自分の性格や趣味、振り返りなどを紙に書き出すということが大切です。ADHDの子は、自分の弱みはたくさん出てくるのですが、以外と強みは出てこないのです。自尊心が低いため「小さな得意なこと」を得意だと認識できずに当たり前と思ってしまっています。もし、強みが出てこないときは、大人から発言してみましょう。例えば、「私の強みは、よく笑うことだ」と普段の日常で誰にでも出来ることを言ってみてください。そうすることで、「そんな当たり前のことでもいいんだ」と思うようになり強みがたくさん出てくます。一番いい思い出などに関しては、「毎日ご飯が食べられることかな」などで構いません。単純・簡単・当たり前・普通のことをたくさんアイディアとして出してあげてください。
【挨拶・感謝でポイントためよう】
ADHDの子は、競い合うことや目標までの道のりを楽しむ傾向があります。その特性を活用し、普段の挨拶・感謝の言葉(おはよう・行ってきます・ありがとう・おやすみなど)を身に付けさせます。ポイントが何ポイント貯まるとお菓子GETなど報酬を考えておきます。そうすることで、モチベーションが上がりやる気が出るのです。ただ、かなり長期的なものとなってしまうと、ADHDの子はやる気を失います。最初は、三日間連続で「おはよう・おやすみ」の2つの言葉が言えたなどの小さなことから始めてください。そうすることで、モチベーションが持続され挨拶や感謝の言葉を定着化することができます。
【感情を考える】
これは、ご飯を食べているときやテレビを見ているときなどに質問して、一緒に考えるSSTです。「〇〇は、どんな時悲しいと思う?」「幸せなときはどんな時?」など感情のワードを入れて日常会話を行います。言葉にしてアウトプットすることで、自分はこんなときに悲しいと思うんだと再認識します。そして、悲しいや嬉しいなどを思うときは一つの場面ではなく、いろいろな悲しいや嬉しいがあるのだと自身でしっかりと理解させていきます。そうすることで、感情の幅が広がりコミュニケーション力も少しずつ定着していきます。
【相手の考えを当ててみよう】
これは、日常の行動の中で、相手は今どんなことを考えているのかをゲームとして置こうなSSTです。例えば、「お父さんは、階段をおりてどこに向かうと思う?」「お母さんは、今どんな気持ちでテレビを見ていると思う?」など他者の考えを考えさせます。そうすることで、自分以外の価値観や考えを取り入れていくことができます。私はよく子どもたちに、「先生は叩かれてどんな気持ちしたと思う?嬉しかったかな?悲しかったかな?痛かったかな?」と聞きます。返ってくる言葉は、「痛いと思う。」「怒っていると思う」等しっかりと相手のことを考えて発言してくれます。こういった相手の気持を考える時間も作ってみてください。少しずつ他者への理解ができてきます。
いかがだったでしょうか?
このように、日常的にSSTは取り入れていけるものがたくさんあります。
幼少期からこういった訓練をすることはとても大切です。大人になった時、少しでも社会人として役立つことが出来るようぜひ、今から取り組んでみてください。必ず大きな差ができているはずです。
前回の記事では、ADHDの能力や子ども時代の環境でADHDの子がどう変わるかについて記載しています。是非そちらの記事も読んでいただけると幸いです。